2018年2月13日火曜日

「北朝鮮脅威論と安倍改憲」 講師:布施祐仁

 2月12日、第16回大和市革新懇総会が開かれ、前半の記念講演から参加しました。

 平和新聞の記者として、自衛隊の日報問題など、大手メディアが出来ない追求を行なっている布施祐仁さん。「北朝鮮脅威論と安倍改憲」をテーマに約1時間お話していただきました。

1.北朝鮮が日本の脅威となり得る理由を作っているのは、アメリカであり、安倍政権であること。
2.朝鮮戦争が終結していないために、南北朝鮮・アメリカ(+日本)の関係が不安定であること。
3.ミサイル迎撃システムは、在日米軍基地を守るためにあること。(そもそも迎撃に成功するかという問題もあるけど)
4.核攻撃が発生すれば、数千万人の被害がでる。
5.『悪の枢軸』指定が結果として核開発の背中を押すことになった。
6.北朝鮮の要求(国体維持)に向けた交渉が進まなければ、核開発も止まらない。
ような話をされていました。
ざっとしたメモは後半に

 安倍政権は、対話のための対話は無意味と圧力一辺倒の外交にこだわりをもっているようですが、北朝鮮への圧力は2002年頃からそれは長い期間かけられてきたわけで、その結果核開発が進められたことを考えれば、コレ以上の圧力にどれだけ意味があるでしょうか。
 北朝鮮の要求をすべて聞く必要はありませんが、要求がなんなのかもわからずに圧力をかけることは、結果として暴走・・・予測不可能な事態につながりかねません。ましてや、北朝鮮が日本(の在日米軍基地)を狙っている以上、偶発的な衝突が起きる可能性を限りなく減らす努力を日本政府はする必要があるのではないでしょうか。

 憲法へ自衛隊を書き込むという議論も、これから自衛隊をどういう存在にするか(したいか)が問われていると思います。集団的自衛権を口実に、戦争(侵略)が繰り返されてきたことは言うまでもありませんが、安保法制が改悪された以上、自衛隊の海外派遣はアメリカとの共同任務につながっています。
 災害救助などの活動は評価されるものですが、憲法に定める内容が、平和貢献の活動なのか、災害支援活動なのかで、内容は変貌します。『自衛隊に感謝』することは大いに結構ですが、その自衛隊を戦地に送って良いのか。大いに議論を広げていきたいと思います。




脅威=能力×意図
能力:ノドンの開発で、日本全土がすでに射程圏内に
意図:アメリカからの攻撃を抑止したい=北朝鮮の現在の体制を守ることが目的。
→実際に核兵器を使ってしまったら、交渉には使えない。反撃される。

→→ある日突然北朝鮮が日本に核兵器を使用することはアリえない

その一方で・・・
「訓練は現在行われているアメリカ軍と韓国軍の号同軍事演習に対抗したもの」
「有事に在日米軍んの基地を攻撃目標をとする想定で行われた」と2017年3月のミサイル発射を受けての北朝鮮発表。

合理的に考えれば、戦争するメリットはない。
が、必ずしも合理的な判断をし続けるとも限らない。
(かつて日本は、神風が吹くと絶対に勝てない戦争に突き進んでいった過去がある)
ロシア・中国は、追い詰めすぎることはよくないという判断もある。

アメリカは・・・
 限定攻撃(核施設を中心としたピンポイント攻撃)を検討していると、報道。半島で多少の人命被害が出たとしても、アメリカ本土に被害が出るよりはマシ。という思いがある。しかし、軍人を中心に、北朝鮮が反撃してこない保障はなく、実力行使はするべきではないという声もあがっている。
 日本政府の態度は、強硬派と一緒になって、圧力をかけていく姿勢。


1950年朝鮮戦争
 北朝鮮が南侵。朝鮮国連軍(アメリカを中心とした多国籍軍)が作られる。53年に休戦(戦争そのものは継続)協定が結ばれるが、54年に朝鮮国連軍地位協定が結ばれて、キャンプ座間などが朝鮮戦争の際には、拠点となることになった。協定では、事前協議の必要性が記載されているが、吉田アチソン公文では、拒否することができないとなっている。
→自動的に日本が戦争に巻き込まれる仕組みが60年前にできていた。
東京新聞:「朝鮮国連軍」今も存続 横田基地に後方司令部:政治(TOKYO Web) http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201801/CK2018011802000145.html


安保法制改定を受けて・・・
 米軍を防護する任務が追加。米空母や戦闘機が攻撃を受けたときに、自衛隊が同時に反撃する(攻撃)ことができるようになった。日本海での共同演習が行われ、グアム→韓国の爆撃訓練では、自衛隊機が護衛を担った。
 自衛隊の重要任務は、在日米軍基地を守ることで、ミサイル迎撃システムの一翼を担うPAC3(射程20㎞程度)は、米軍周辺に配備され、米軍自体は、その能力を持っていない。

韓国と日本の対応の違い
 文大統領「五輪を機に北朝鮮の各問題を解決させ、半島の恒久平和の糸口を探る」
 安倍首相「対話のための対話は意味がない」

これまでの対話は本当に無駄だったのか
 これまでの対話の検証がされていない。「米朝枠組み合意」では、北朝鮮の核兵器開発の中止とアメリカからのエネルギー支援が合意された。が、2001年の同時多発テロを受け、2002年1月、ブッシュ大統領がイラク・イラン・北朝鮮を「悪の枢軸」と名指しで非難。北朝鮮はウラン濃縮=核兵器開発を開始することになった。
 六カ国協議でも、北朝鮮は核開発の放棄を、アメリカは北朝鮮への不可侵を約束した。この協議を通じて、北朝鮮は休戦協定→平和協定に切り替え、朝鮮戦争の終結を画策していたが、アメリカがそれを望まなかった。
 そもそも北朝鮮の要求は、北朝鮮の国体の維持であり、核開発はその手段。その議論が進まない中で、核開発の放棄を前提とした交渉が進むはずがない。


九条3項追加?
 これまでの自衛隊についての憲法解釈は、自衛のための実力であって、軍隊ではない。活動の範囲は、日本の領海領空を出ないというものであった。しかし2015年の安保改正で、集団的自衛権を認め、海外での任務も付与されることになった。
 3項に、「前項の規定は、自衛または国際平和協力活動を制限するものではない」と規定されてしまえば、活動範囲は地球全土に広がる。解釈次第でなんでもできるようになる。そうでないなら、「日本の領海領空の範囲を越えない」などの規定が必要になる。

自衛隊員の家族も・・・
 南スーダンでの日報隠蔽に怒り。戦争する自衛隊を望んでいない。災害救助などの取り組みを評価し、そういった国際支援を望む声はある。

→戦争しない自衛隊=軍隊ではない存在をつくるのであれば、九条の規定を変えることは必要ない。

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