2016年2月28日日曜日

2.28 神奈川青年大集会

の中野晃一 教授の講演メモです。




 安倍政権ができたから、民主主義の破壊が急速に早まったわけではない。20年あるいは30年かけてつくられたもの。
 安全保障環境の変化。かつてとは状況が変わってきている。自民党は専守防衛を柱に自衛隊も日米安保も容認してきた。個別的自衛権とは別のことをしようとしている。ー集団的自衛権。
 冷戦の終結が今日の安全保障につながっている。資本主義対社会主義、アメリカ対ソ連という構図だった。世界が二分され、東と西にわかれて交流がなかった。経済的なものだけでなく、民間機もそれぞれの地域を迂回することが日常的にあった。冷戦が戦争にという危機感があった。
 冷戦が終わり、グローバル化していった。地球全体に経済が一体化、アメリカ支配下になっていった。と思われていた。対ソの一点で陣地争いをしていたアメリカが、すべてを支配下に置くということを主眼に置かなくなった。重要なところは押さえるが、統治する必要がなくなった。金儲けをできる環境を整備していく。その一方で破綻国家が生まれている。名目上、政府が置かれているが、統治権は首都圏だけであって、ゲリラ等が起きるような国が生まれている。イラクやソマリアなど。イラクもアメリカが攻撃したあと、日本を手本に占領、民主化を図ろうとしていたが、実態は政府・クルド人・シーア派・スンニ派で4分されている状況が作られた。戦争にメリットがあったが、イラクの再建というところにアメリカはそこまで興味がなかった。結果、無法地帯が生まれていった。冷戦ー零戦直後とは違った思惑で、世界が変化をしている。

 冷戦時代には、世界的にも日本国内にもせめぎあいがあった。保革対立で、自民党側も中心によらざるを得なかった。保守リベラルと言われる政治家、経済優先の政治家が混在していた。結果として、ある程度の社会保障が充実していった。親分子分の体制で、支配構図が作られ、長期政権が支えられていた。不満が爆発しない程度に、制度を作っていった。イデオロギー対決があったから、緊張感ー対立側が隆盛する可能性があった。

 冷戦末期になると、サッチャー、レーガン政権が生まれる。世界的には自由化が進んでいく中、東側は新自由主義が台頭していく。自己責任、官から民へと変化が進んでいった。安倍首相の「この道しかない」はサッチャーが80年台に言っていたこと。TINA(There is no alternative、他に選択肢は無い)開き直りが通用してしまっている。自由な市場・経済は、企業にとって自由が保証されるというもの。本来的には大多数には利益のないものを、誤魔化すために、強い国家、改革を進めていくことが求められた。それを支えるために、小選挙区制が導入され、拡大していった。イギリス・アメリカ、日本。イギリスも制度導入から、政権与党が過半数の得票を得たことはない。相対得票は3割程度でいい。支持層の強いところで得票・議席獲得を行えば、小を切り捨てても大丈夫だった。

 金で国をまとめていたものを日の丸に変えていった。愛国主義ーナショナリズム。極右政党が台頭し、排斥主義がひろがっている。アメリカでも、フランスでもそういった勢力が力をつけている。イデオロギー、妄想による解決(?)が行われようとしている。

 そこで集団的自衛権が出てくる。グローバル企業が利益を上げるための施策、外交が必要になる。海外への売り出しと労働者の切り捨てが進められる。グローバル経済秩序ーショバ代の支払いを求められている。自衛隊の派兵、集団的自衛権となる。表面上は、中国や北朝鮮などを敵視し、靖国史観を進め、地下では寡頭支配が進められる。
 アメリカの北東アジアの安全保障を維持するために、日米安保や米韓安保が重要になる。それを深化するために、日韓の慰安婦問題の解決が進められた。対アメリカの軍事同盟だけでなく、准軍事同盟を広げていきたいという思惑がある。

その下準備として・・・
1.国際貢献の名の下にPKO法が作られた。 1992
2.周辺事態への対応のため、法改正を行い
3.後方支援の名の下に、ガイドライン・法律の整備をすすめた
2000年アーミテージ報告で、9条が邪魔を名言し、アメリカが戦争したときに、率先して軍隊を送ってくれる、アメリカの肩代わりをしてくれる国を増やしたいという思惑がある。
軍事情報を共有して、秘密保護法の名の下で隠し、なし崩し的に憲法を破壊していく。集団的自衛権を行使していく。イラク戦争の時にできなかったことが、できるようになる。戦争法の成立で、これができるようになったが、やってしまえば、反対運動が広がってしまう。それを防ぐために、改憲を行う必要がある。簒奪的に国民から権利を奪っていく。

アメリカは戦争の終わらせ方を知らない。

 集団的自衛権の行使は、グローバル企業の利益のために、収奪・簒奪を行うために行われる。それに抵抗する形で、海賊やテロ組織ー抵抗勢力が生まれ、共同で対処するための集団的自衛権。本来なら、自分が悪であるはずなのに、敵をつくることで一体化がつくられる。


 秘密保護法の運動の反省があった。2014年は、緩やかな連携がつくられていった。集団的自衛権行使に向けた明文改憲に向かうのではないか、と総がかり行動実行委員会がつくられ、昔のことは隅において一緒に活動できるようになった。SHIELDs、総がかり行動が国会前に場を作ったことで、立場を超えて多くの人が集まり、つながっていった。他者性ー認めることができるようになった。そして、個人をベースにした運動が広がっていった。お互いをリスペクトする環境が養生していった。

 横暴な政治を行うことで、勇気・気概を破壊しようとしている。強行採決、沖縄。民主主義を諦めることで、投票率が下がる。支配が進まることを期待している。
 抗うコトバがリスペクト。意見の違いを認め、一致点をみつけていく努力がこの言葉に込められているのではないか。その人の考えにもう一度目を向ける
 平和を考えることに遠慮する必要のない環境になっていった。学校教育や祖父祖母から聞いたコトバが根っこにある。そして、女性が平和へのコトバを発するようになったことはかつてない変化。戦争が起きた時に真っ先に犠牲にあるのは、女性や子ども。「だれの子どもも殺させない」

 課題。尊厳や自由を守る戦いだということを、より多くの人にポジティブに伝えていくか。怒っているだけでは、伝わらない。拒絶がある。手遅れ感や無力感、無縁感。そこにどう対応していくか。
1.自由で楽しい生活を大事にする。運動家になる必要はない。できる活動をしていく。『楽しい』をタブー視しない。声を上げるときに上げる。コミットする人を増やしていくことが重要。
2.説得しない。一番大事なのは、相手の話を聞くこと。正しいと思っていても押し付けない。その人の思いに寄り添う形で、思いを深める会話をしていくこと。自分で気付いていく。

 他人の尊厳を踏みにじるということそれ自体がいけないこと。その最たるものが戦争。他人の戦争に踏み込んでいく国に未来を描けるはずがない。その先を聞いていく。
 つながっていくことで知らなかったことが見えてくる。変化とつながりが相互作用する社会が作られてきている。


質疑
代議士があてにならないと市民運動が高まる。そして、自分たちが代議士をつくるという運動につながっていく。欧米型の貧困問題などを中心とした運動と、東アジア型の民主主義を守れといった運動の特徴がある。

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