2016年9月6日火曜日

舘野鉄工所跡地を平和公園に 陳情は留めに

 9月議会の委員会審議が続いています。今日は文教市民経済常任委員会で、ほりぐち議員が参加しています。

 委員会所管分の決算、国民健康保険特別会計、後期高齢者医療特別会計と物品購入、補正予算(5件)、陳情(2件)が審査されました。

 決算の審議ももちろん重要ではありますが、陳情第28-43号「舘野鉄工所跡地を(仮称)『平和のための慰霊公園』にする陳情書」の審議が大変衝撃的でした。

 52年前、大和市上草柳にあった舘野鉄工所に米軍基地が墜落。5人の方がなくなっています。現在は、国有地となり、フェンスで囲まれ、一昨年、市民団体が50年慰霊碑を建立しています。(大和米軍機墜落事故
 この陳情書は、その跡地に事故の記憶と追悼、平和、安全の平和公園を作って欲しいというもので、陳情署名には9187名の方が名を連ねています。

 審議に先立ち、遺族の舘野よしおさんは
一昨年、慰霊碑を立てていただいたが、国の認可が必要でいつまで続けられるのか。周囲はフェンスに囲まれ、足を踏み入れることもできない。墜落で家族を奪われた私が望むのは、あの地に慰霊公園をつくり、安心・安全、平和のシンボルとして、広く市民の皆さんに共有されること。9000超の署名を重く受け止め、審議いただきたい」と涙をこらえ、言葉をつまらせながら、陳述されました。

 その後、委員からの質問、討論が行われましたが、公明党・河端議員から
「慰霊の必要性は認識しているが、地元合意が一番重要である。悲願であった米軍機の移駐が来年実施され、この同行を注視する必要があるのではないか。この陳情書は『留め』とし、合意をつくっていく必要がある」の動議が出され、採択の雲行きが怪しくなりました。

 ほりぐち議員(共産党)からは
「現在の慰霊碑建立は、地元住民の合意のもと、行われている。公園の維持管理も地元に押し付けるのではなく、実行委員会で行うこともできる。最終的な判断は大和市が行うもので、議会として背中を推すことが必要ではないか。更に、『留め』にして何になるのか。合意形成を行うのであれば、今定例会(9月29日)で審議の打ち切られる『留め』ではなく、『継続審議』にするべきではないか」と反対意見が出され、

 山崎議員(神奈川ネット)からは
「岩国移駐は本来的には無関係。なるべく早く慰霊を建てるその意義を考える必要があるのではないか。厚木基地の存在にかかわらず、慰霊を行うべき」

 石田議員(虹の会)からは
「意見陳述に来てくださった遺族である舘野さんの思いを尊重すべき。また9000を超える署名の事実をどう考えるのか。52年前は舘野鉄工所に墜落したが、今もなお戦闘機は飛び続け、次は自分かもしれない。墜落の事実を伝え、平和について考える場を作る必要がある」と討論。

 古木議員(自民党・新政クラブ)からは
「自民党・新政クラブとしても、悲劇を忘れず、事故の危険をなくしていくために努力してきた。そのための岩国移駐である。厚木基地は終戦後、マッカーサーが降り立ち、その後、世界大戦は起きておらず、世界平和の一歩を踏み出した地でもあり、今年3月の定例会では、そうした地に平和記念館(仮)をつくるよう、国に意見書も提出した。先だっての慰霊碑建立でも地元の声は一筋縄ではなかったと認識しており、今すぐに結論を出すべきではなく、『留め』にすべき」と賛成討論がありました。

 結果は3対3の可否同数となり、委員長採択で採択→『留め』となりました。この結果に、30人を超える傍聴者からは怒りの声があがり、委員長が「静粛に」と発しましたが、その声はしばらく続きました。

 舘野さんは「墜落の事実を伝えてほしい。ただそれだけなんだ。」と委員長に涙ながらに訴え、退室されました。

 9月8日で舘野鉄工所墜落事故から52年を迎えます。10時からは慰霊式を予定していますが、台風の影響が懸念されます。もう半世紀以上前の事件。当時のことを知る市民も少なくなる中、横須賀には原子力空母ロナルド・レーガンが配備され、艦載機が日夜訓練を続けています。また、オスプレイの飛来も常態化し、当時の反省は何だったのかと思わされるものです。

「墜落の事実を伝えてほしい」
遺族の思いを尊重したい。

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